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量子の誕生の歴史的背景を見てみますと、物理的な光の研究が最初といえます。
19世紀までは光の干渉現象などから「光は波である」という考え方が物理学の常識とされていましたが、プランクのエネルギー量子仮説、アインシュタインの光電子仮説で、光は粒としての性質と波としての性質を併せ持つという、二重性を示すことが明らかになりました。
究極の小粒子と考えられていた原子も内部構造を持つ事がわかり、原子核の周囲を電子が回るという「ラザフォードの原子模型」が有力な原子モデルとされました。
「ラザフォードの原子模型」には回転する電子が光を放って原子核に落ち込むはずだという欠陥を抱え、また水素原子の線スペクトルであるバルマー系列を説明できませんでしたボーアは「量子条件」「定常状態」「振動数条件」の仮定を置く事で、「ラザフォードの原子模型」の欠陥を補う事に成功しました。
この理論を「前期量子論」と呼びます。
しかしボーアの原子模型は水素原子にしか成り立たないものでした。
フランス物理学者ド・ブロイは「電子は波として考える」を提唱し、アインシュタインのそれまで波と考えていた光に、粒としての性質を見出される事を提唱した光量子仮説に逆転の発想を行ない、光量子仮説の中でアインシュタインが唱えた「光量子の運動量と波長の関係式」に電子をそのまま適用して、運動量(=質量×速度)がPである電子は、波長がλである波とみなす事ができる。
このときλは、ブランク定数hを運動量Pで割った値になると考え、この波を物質波と名付けました。
電子の波が原子核の周囲を回るがその長さは整数倍であり、ボーアの量子条件式と同じ電子の軌道に量子条件という奇妙な条件がつくのは、電子が波であるためであるとしました。
電子は本当に波なのか。
単に粒である電子が波打って動いている状態は、電子そのものを波と考えることにならないのです。
オーストリア物理学者シュレーディンガーは、電子の波を複素数の波として物質波の伝わり方を計算する方程式を発表しました。
この方程式を解けば、物質がどんな「形」で波を持ち、その波が時間の経過とともにどのように伝わっていくかが計算できることで、このシュレーディンガーの理論は波動力学と呼ばれミクロの世界の運動法則を記述する量子力学の基本的な理論になりました。
ψ(プサイ)波動関数 物質波を表す記号 複素数の波となる。
i(アイ) 純虚数 虚数単位を表す記号 二乗すると-1になる数
実数と虚数を組合わせたものを複素数といいます。
古典物理学の中にも音波や電磁波などの波が伝わっていく様子を表す波動方程式がありますが、シュレーディンガーの方程式は似ていますがさらに複雑なものです。
古典物理学は実数のみで複素数は存在しないので、姿を描きやすいありふれた波です。
ドイツ物理学者ボルンは波動関数ψの絶対値を二乗したものは、電子がその場所で発見される確率に比例する説を唱え、波動関数の確率解釈を見出しました。
量子論の主流・コペンハーゲン解釈で観測した途端に「波の収縮」が起きて電子は一ヶ所で発見される考えも、シュレーディンガーの理論を裏付けました。
確率解釈に反対したアインシュタインは、確率などという原理を物理学に持ち込む事は物理学を決定論と考えることの放棄につながるとし、「スピノザの神(自然現象を決定する原理真理)はサイコロ遊びを好まない」という有名な言葉でコペンハーゲン解釈を批判しました。
しかし、アメリカ物理学者デウィッソン・ガーマーの干渉実験より波動を確認、イギリス物理学者トムソンの干渉縞の観測、アメリカ物理学者ファインマンの経路積分法等により観測という行為によって電子の収縮が起こる為、観測結果の曖昧さが存在するとして、電子の波動性と波動関数の確率解釈を擁護しました。
そしてこれはミクロの世界に存在する「原理的・本質的な不確かさ」である、と唱えました。
ドイツ物理学者ハイゼンベルク行列力学は波動力学と数字的手法が異なりますが、ある物質に関する「位置」と「運動量」を測定する時、両者を同時に一の値に確定する事が出来ず不確かさが残るという原理を発表しました。
量子論は不確定性原理であり、量子論は物質や自然がただの一の状態に決まらずに非常にあいまいであること、そしてそのあいまいさこそが自然の本質であることを示しました。
整然とした自然を表す決定論としての物理学を、否定したのが量子論といえます。
この事から波動関数の確率解釈、不確定性原理は終生反対をしましたアインシュタインの信念は、物理学は決定論であることを唱えたのです。
この事は、近代科学の根底は、物と心、自然と人間等分けて取り扱う二元論であり、これらを不可分なものとみなすのが一元論です。
この事からすれば、量子論は一元論で、哲学的な東洋思想に通ずる部門を持つという事でもあります。
この事を考えますと、量子力学による材料化学を理解するには、抽象性、階層性、歴史性即ち、抽象性では、量子力学の理解、階層性では結合論、構造論、物性論、歴史性では反応論の倫理構成の理解が必要になります。

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