「使用実績から見た球状炭化物鋳鉄(KS−H)の性能特性」…三共合金

従来材をしのぐ好成績を挙げた「ポンプインペラー」・「腐食性液配管」及び

実証試験から改善が望まれる「対アルミ溶湯耐久材」・「超高温(800℃以上)雰囲気キルン内壁材」などの

実績と研究実態の紹介


「環境適応型凝固プロセスによるステンレス球状炭化物鋳鉄の製造」…関西大学


空洞鋳型鋳造方と減圧消失模型鋳造方によるKSH−C(ステンレス球状炭化物鋳鉄)の

鋳造作業性の比較と製品特性の調査

鋳造上の作業性は何れの方法も問題なく炭化物の球状化も実証できた

しかしながら消失型よりも空洞型のほうが冷却速度が大きいため組織が微細になっている

《SEM像写真》
消失型 空洞型
球・粒状炭化物が接続し一部「花弁状」となっている  炭化物(VC)は完全に近い球状を形成している



「球状炭化物の生成機構」…京都工業試験場

ステンレス球状炭化物鋳鉄(KSH−C)の組成に調合せる材料を

50kg高周波電気炉で溶解し右図の溶湯温度にてサンプリングし

金属組織と硬度を調査

その結果1,900k★付近で炭化物球状化が始まり

1,950kでほぼ完全な球状炭化物鋳鉄が生成される

この球状炭化物は2,000kとなっても変形する事なく特筆すべきは

図のように溶湯を降温・昇温しても組織中の球状炭化物は消滅しないことである

この事実は本材料をリターン材として再溶解しても組織が変化せず

何度でもリサイクル可能である事を示唆したものと判断できる







「ステンレス球状炭化物鋳鉄の溶出試験」…関西大学


耐摩耗性と耐食性を併せ持った本材料は、食品製造機器および食料輸送設備への適用が想定されるので、

上水道関係で可能性の有る金属元素の溶出量を調査した

試験は「JIS−S−3200−7:水道用器具の溶出性能試験方法」に準拠して実施した

溶出液は、有効塩素濃度 0..3mg/l、炭化水素ナトリウム0.04mol/l、塩化カルシウム0.04mol/lに調整し

常温溶出(20℃、16時間溶出)と熱水溶出(90℃、16時間溶出)両条件にて行った

その結果は次の通りで「何れの場合もFe、Cr、Ni及びVが検出されたが、法的規制値の判定はなされていない」と説明された。

Fe Ni V Cr
常温溶出試験 0.014 0.012 0.006 3.3
熱水溶出試験 0.031 1.016 0.015 4.7




「材料組成と球状炭化物の生成状況」…京都大学


先の京・工・試研究[球状炭化物の生成機構]は“KSH−C”同一組成鋳造品中の

炭化物球状化の温度依存性についての研究だが、球状炭化物の生成状況は金属組成も影響するとの見地から

Fe・V・C・Ni・Crの含有量の変化によるバナジウムカーバイト(VC)生成状態を調査した

試料は全て 1,973K(1,700℃)で溶解し金型鋳造とした。

     Fe−7V:Vは球形に晶出
    Fe−7V−3C:VC部にもFeが固溶し粒・球状炭化物は生成していない
   @ Fe−7V−3C−8Ni:VCは花弁状に生成
   A Fe−7V−3C−18Ni:VCは樹枝状・人手状で球状化率は不充分
   B Fe−10V−4C−18Cr−8Ni:直径2〜5mμの球状炭化物VCが生成

《顕微鏡写真》

@ A B

【考 察】

試験 @・A も棒状・板状のVCは少量で、非有面の炭化物が認められるが球状化していないのは

V含有量 の不足(V:Cの比率)が原因と考えられる

量子力学を基本概念とした、Vを気泡源成分として添加し溶湯中にガス(水素)気泡の微細な球状空間に

共有結合性の球状炭化物を優先的に晶出させた後凝固する方法で

バナジウム炭化物を球状として晶出させる事の出来る事を実証した